harmma-1
極東支部・ラウンジ
一日の中で一番暑い時間帯、正午過ぎ。食を摂りに集まる神機使いも多いからか空席が少なく、とても賑わっている。
「ムツミちゃん!オムライスの普通のを一つお願いしますねー」
たった今オムライスを選んだ神機使いも午前の周回が終わり、昼食を摂ろうとしているところだ。名前は桐生アヤカ、部隊には所属していないが遊撃として任務の補助に入る事もある。腕輪は黒。
近くにあった空席に座り鞄からファイルと端末を取り出すと、写真を呼び出し記憶と違う所を探す。のだが?
「A地区……B地区……あれ?」
ただ、彼女の記憶は不安定な物で数日の間しか持たず、一週間も経つと大事な事以外はほぼ忘れる…という報告が本人から上がっている。その為一度確認した後に複数人の確認が入り、人が少ない中で人員が割かれる為上はよく思っていないらしい。
「……まあいいです、データ送れば何とかしてくれるでしょうし。」
全然良くないぞ?
それから少しするとムツミちゃんのオムライスが運ばれてくる。食事を見るとすぐに端末をしまい喰べる姿勢をとった。卵の上にケチャップでカピバラのカルビか描かれておr作者は飯テロが上手くないので通常の食事描写はカットします。
「ごちそうさまでした!やはりムツミちゃんのご飯は美味しいですね」
感謝の気持ちを込め手を合わせて礼をする。しばしの幸せな気分を味わっている所に着信音が端末から鳴った。顔をしかめながら文面を見ると、特務が発行されたらしい。
「って……もう時間じゃないですかっ!!特務、うーん……」
折角のオムライスで気分上がってたのに、と肩を落としてしょんぼりしていると特務の相棒が気になってくる…任務が久しぶりというのが、特に。
「……桐生アヤカ」
「はっはいぃ!!??」
急に名前を呼ばれたものなので思わず立ち上がってしまうと後ろから"わぁっ"と可愛らしい悲鳴が聞こえた。慌てて聞こえた方を向くと眉間に皺を寄せムッとした顔の神機使いがいた。
「もしかして…依頼主さんだったり……」
「む……そう。特務、来てくれるよね?」
「ごっごめんなさい!!お煎餅あげますから許して下さ__
ガサガサと腰の鞄を漁っていると依頼主はアヤカの頭をチョップした。手を離して"時間が無い"と言うと、痛がって頭を抱えているのをよそにさっさとラウンジから出ていってしまった。